アルビン号は1964年に建造され、それから45年、半世紀近くも経っている。もう、とっくに退役していてもおかしくない。実は、何度も延命措置が施されてきた。3年から5年に一度は、全面的なオーバーホールが行われている。そのたびに部品が交換されたり、新たな機器が搭載されたりして、今やビス1本たりと、建造当初のものは無い。最も大きな改変は、1972-73年、乗員たちが入る耐圧球が鋼鉄製からチタン合金製に交換され、それまでの2400mの潜航深度がからが4500mに向上したことだ。最近の大規模なオーバーホールは、2001年。新たな動力制御装置とコンピューターシステムが搭載された。
それにしても、日本の「深海6500」などと比較すると、性能面の立ち遅れのそしりは免れない。このため、現在、次世代アルビン号の建造計画が進められている。2008年からは、人が乗り込む場所であるチタン合金製の新型耐圧球の製造が進められている。新しい耐圧球によって、アルビンの潜航能力は、「しんかい」と同じになる。また、現在の耐圧球は直径2メートル足らずだが、新型は一回り大きい2m15cmなる。
次世代のアルビン号の大きな変更点は、のぞき窓が現在の3ヵ所から5ヵ所になることだ。正面の窓は、専らパイロットが操縦のために使う窓で、研究者はサイドの窓から外を覗くしかなかった。次世代アルビン号では、窓のうち3つが正面を向いている。研究者は、アルビン号の進路をパイロットに指示できるだけでなく、照明がきちっとあたるベストスポットを観察できることになる。パイロットは、自分だけ許された独占的な視界の特権を失うことになる。
新しい耐圧球は、とりあえず新しいバッテリーやライトとともに、現在のアルビン号のアップグレードに使われ、次世代アルビン号の船体の完成を待つことになる。新アルビン号が登場するのは、早くても2015年になるようだ。しかし、実現は、ひたすら50億円の資金調達にかかっている。
アルビン号は不恰好だ。流線型に形が整っているのは、実は船体後部。私は、かなり長い間、この船尾が船首だと思っていた。本当の船首部分には、見てくれも構わず、海底での採取物をのせるサンプルバスケットやマニュピレーター(ロボットアーム)が設置されている。
上図は、次世代アルビンの建造委員会が発表した資料である。どうも不恰好さは、踏襲されるようだ。なぜか、ホッとする。
旧アルビン号の未来は、博物館入りが有力だ。