1979年、メキシコ沖でアルビン号が水温380度の熱水噴出孔を見つけた際、その周辺に旺盛な生命活動を発見した。その中心にあったのが極彩色の巨大なチューブワーム。大きなものは全長2m、管の太さが直径10cmのものもあった。
チューブワームの存在は、底引き網漁船が、網にチューブワームを引っ掛け、知られていた。しかし、海底で生息しているところを目視で確認したのは、アルビン号が初めてである。ウッズホールで、初めてチューブワームの群生の映像を、見せられたとき、これぞ、まさに、「深海の楽園」だと驚嘆した。
白い管(チューブ)から、羽根飾りのような真っ赤なエラがのぞいている。エラが赤いのは、その中に、人間の赤血球にあるようなヘモグロビンが入っているからだ。チューブワームのヘモグロビンは、酸素と結合するだけではなく、驚くべきことに、熱水中の猛毒、硫化水素と結合して無毒化することができる。言ってみれば、スーパーヘモグロビンである。
エラは管の中の本体につながっているが、この結合部分を長さ数センチの筋肉が覆っている。筋肉は、左右に開くことができ、これが羽織に似ていることから、和名では「ハオリムシ」と呼ばれる。
白い管は、たんぱく質とカニの甲羅のようなキチン質でできていて、カバンの皮のような硬さがある。管の中にはソーセージのような本体があり、その中に、バクテリアが共生している。バクテリアは、チューブワームの重さの60%から90%に達する。バクテリアは硫化水素からエネルギーを作り出し、チューブワームに渡している。管の中に住むお返しに家賃を払っているようなものだ。
チューブワームは、本映画の核心である。チューブワームの群生を、2Dで見ると気がつかないが、3Dで見ると、管の間におびただしい生き物が重なり合ってコロニーを形成していることが良く分かる。